たむ散歩 第3章

たむ散歩 第3章

2018.夏。飛行機に置きざりの旅行英単語集。知ってる英語は『Pardon?(なんて?)』一択。この物語は大都会東京のネオンに照らされ、長年どっぷり浸かった騙し騙されの愛憎劇の舞台を海の向こうアジアの地へと移した元キャバクラ店長”たむ”のアジア周遊回顧録である。

【それ、騙されとんで】 タイ,バンコク編

こ、ここは!?

 

目を覚ました瞬間、ありがちなパニックを挟見つつ、日本を飛び立ったことを一通り後悔し終えてから2日目スタートです。

 

 

エントランスの陽気なおばちゃんの英語が聞き取れず、相変わらず完璧に使いこなせている単語は苦笑いの「pardon?」のみ。

 

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唯一のコミュニケーションツールである「pardon?」を巧みに使いこなし、おばちゃんのせせら笑いと共にチェックアウトを済まして向かった先は、あの46m黄金の寝釈迦像世界遺産ワットポー。

 



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,,,のはずでした。

 

 

カオサン通りの突き当たりを出たところで、声を掛けてきたトゥクトゥク使いの親父。

 

 

he~y.Where are you going?

 

え?え?わ、ワットポー!

 

Wat Pho? Ok !! Follow me !!
Get in !! I’ll take you Wat Pho!!

 

もうっ!全然わっかんない!日本語で喋って!

 

※英語は妄想です。

 

 

おもむろに地図を取り出し2箇所に丸をつけ何かのルートを書き始めた親父。

 

 

ワットプラケオ、ワットポー

 

 

にわか知識の僕でもバンコクの世界的有名観光地であることがわかります。目的地だ。

 

 

ほう。散々っぱらネットで見た噂のツアー的なやつかー。
できる子やん。で、いくら?

 

20BHT(約70円)

 

安っ!!乗る!!

 

OK~ !! Get in !!

 

 

あまりにも安かったので交渉もせずに即決。
 
 

親父のトゥクトゥクに乗り込みすぐさま出発。

 

 

そしてトゥクトゥクをしばらく走らせ、最初に到着した先はそれは立派なスーツ屋さんであろう場所。

 

おい、親父。なんだここは。
どこに釈迦が横たわってんだ。

 

(以下妄想)お釈迦様はちょっと置いといてやな!ここのスーツめっちゃかっこいいんやって!バンコクのできる男はみ~んなここのスーツ着てんねんで?しかも安いで!4000バーツ!

 

今すぐバイクを出さないと30秒後にはお前が地面に横たわってることになるぞ。

 

なんやせっかく連れてきたったのに。これやから貧乏人はブツブツブツブツ,,, 

 

これが噂のオーダーメイドスーツ詐欺,,,!!

 

騙されることを過剰に恐れた僕は、前もってタイの詐欺事情について死ぬほどググっておいたのです。

 

 

何もわからず店内に連れて行かれていたら僕が御陀仏するところだったぜ。

 

 

そして無事2日目の観光地一箇所目を後にした一行が向かう先は、やっとこさ世界遺産ワットポー。







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,,,のはずでした。

 

 

僕をバンコクのダークサイドに突き落とすことができず機嫌が悪くなったのか、初めの頃とは打って変わって無言でバイクを走らせ始めた親父。

 

 

しばらく走った先で停車するトゥクトゥク

 

 

着いたか親父。ど~れ、釈迦ちゃん出ておいで~。

 

 

目の前には川。ただただでかい川。 

 

 

おい親父。釈迦は川底で横たわってるのか?

 

普通にトゥクトゥクで行っても面白くあらへんから、ニイちゃんがバンコク思いっきり楽しめるようしたったんやで!ドヤァ

船乗ってクルージングや!ドヤァ 

 
 

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こんなやつ

 

押し売り名人だなお前。ちなみにいくらその船。

 

1800バーツ(約6300円)

 

はい。即身仏決定ね。手頃な穴掘ってやるよ。

 (,,,とは言ったものの、船の旅ってなんかいいかも,,,川,,,好き,,,)

わかったよ親父。1000バーツ(約3500円)なら乗るよ。じゃなきゃ帰る。 

 

無茶言わんといたってや(笑)。1500バーツ(約5300円)やったらええで~

 

(スタスタスタスタ)

 

わかったわかった!ええ!1000バーツでええ!!

 

(スタスタピタッ)

 

そうか。やればできるじゃないか。乗せろ

 

おおきになぁニイちゃん



とまぁまたもやタイの洗礼を浴びたものの、おばちゃんに1000バーツを支払い船に乗り込むことに。

 

これは後に判明するわけですが、ただの移動船で1000バーツ(約3500円)もお金を取られることはありません。だいたい15バーツ(約50円)前後。もっとちゃんとした船で一日乗り放題でも150バーツ(500円)前後。ちなみに現地人の1000バーツの感覚は日本人でいうところの10000円ぐらいらしい。

 

 

 

いやぁ素晴らしい!実に素晴らしい!

 

 

 

そんなこととはつゆ知らず。お得に乗れたと思ってる。バカ。

 

 

ふっ。騙し騙されの世界で戦っていたこの俺さまを騙そうだなんて100年早いんだよ!(騙されてる)

 

 

船着場から船が出航する時に、ふと岸に目をやると親父が満面の笑みで手を振っていやがりました。

 

 

それに応じ笑顔で手を振る僕。

 

 

ありがとー親父ー!
(騙されてる)

 

 

親父の財布を温めた僕を乗せ始まる船旅。

 

 

一言で言うとタイ版ジャングルクルーズ。南国の風はスパイシー。

 

 

これと言った見所もなく、川辺に立ち並ぶ民家の裏口を延々と見せられます。

 

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 向こうの船の彼女はきっと15バーツで乗船していることでしょう。

 

 

オーダーメイドスーツに身を包み、ボロボロの乗合船で南国のスパイシーな風を全身に浴びた上、財布も空っぽにしたい方は、ぜひともカオサン通り周辺のトゥクトゥク使いの親父に声を掛けてみてください。



 

そして散々騙された(まだ気付いてない)末、やっとの思いで念願の世界遺産ワットポーに到着。

 

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ひとまず腹ごしらえ。

 

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米がなげぇ。そしてうめぇ。

なんか有名な店だったみたいです。

 


腹を満たし、いざ敷地内へ。 

 

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奇妙な石像たちがお出迎え。

 

 

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ネコ科の悪魔でしょうか。

 

 

御本尊へ。

 

帽子,タンクトップその他諸々入場時の服装制限が厳しめ。

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足の裏綺麗。感想以上。

 

あれから仏教のことを色々と勉強した今の自分だったらもう少しまともな感想が言えるのかも知れませんね。

 

 

ちなみにこの足裏を眺めているときにカメラを持った3人組、恐らく現地のYouTuber。

 

Interview OK?

 

取材を申し込まれる謎展開。

 

ハンドカメラとマイクを向けられ、何かを質問しているであろうインタビュアーと

 

あいあむさむらい

 

しか言わない僕とでは、もちろん会話が成り立たず、まさにお話になりませんわ的な顔をして去って行きました。

 

今も地球上のどこかで、あの時の映像が誰かに見られているのかと思うと、ケツメドあたりがキュンっとします。



さて、地図のようにここら辺のエリアは、チャオプラヤー川という大きな川沿いにいくつもの建造物が建てられています。

 

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目的地の一つであるワットアルンはチャオプラヤー川の反対岸。

 

 

調べてみると向こう岸に渡るための渡し舟があるそうな。

 

 

再度リバーサイドに赴き周辺を散策すると早速発見です。

 

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4バーツ(安い)を払い、4バーツ分の距離(100m)を向かい側へ。

 

 

この時点でさっきの船の異常な料金に気付きます。クソ。

 

 

ちなみにこのチャオプラヤー川、普通にワニ泳いでるみたいです。

 

 

ワニに襲われる神展開はもちろんなく、無事川を渡りきり世界遺産ワットアルンに到着。

 

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三島由紀夫の小説暁の寺の舞台にもなっており、現在の10バーツ紙幣にも描かれています。ここは夜が綺麗みたいです。

 

 

アーティスティックな建造物の数々。タイ特有の建築文化に心奪われます。

 

 

,,,が、それも高温多湿×灼熱の太陽、そして20kgのバックパックがなければのお話。

 

 

全身びちょぬれ。肩は亜脱臼寸前。

 

 

早々にHPを使い果たし世界遺産巡りにもちゃんと飽きた僕は、敷地内にあったベンチに腰掛け、通りゆく観光客を眺め始めます。

 

 

帰ろ,,,



それからは再度トゥクトゥクでカオサンに。二日でだいぶ慣れたものです。

 

 

今度はしっかり値切り倒し、きちんと最短ルートを40バーツで運んでくれました。

 

 

人によりますね。見分けることはまず無理でしょうが。てか相場把握してしっかり交渉して相手の突け入る隙を与えなければ良い話。

 

 

そしてカオサンから少し離れた先のゲストハウスに飛び込みで予約,,,をビビった僕はTrip.com(宿泊予約サイト)で今宵の宿を予約。

 

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初めてのドミトリー(集団部屋)。

 

 

同部屋になった外人たちが僕の一挙手一投足を見守っています。

 

 

はっ!!こいつらもしやオレのバックパックを!!

狙いは僕のカバンと日本製品,,,?

 

 

謎の勘ぐりが発動し、持ってきたワイヤーロックでベッドの木枠にバックパックをグルグルに巻き付け、さらに布団を被せたシェルターをこさえます。

 

 

さしづめバックパック監禁拘束プレイと言ったところでしょうか。

 

 

これで盗られたら日本帰ろ

 

 

盗れるものなら盗ってみろと言わんばかりのウザ顔で振り返ると、目があったイケメン白人が屈託のないイケメンスマイルを返してくれました。

 

 

なんか,,,ごめん,,,

 

 

リスクヘッジを怠らず盗難対策バッチリにしたはずなのに、少しの申し訳なさを感じながらシェルターを後にし、近所をお散歩。

 

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今日のご飯は何にしよっかなぁ♪
ローカルフードが良いなぁ♪

 

 

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ゴクリ,,,

 

 

えげつない引力を感じる看板でしたが、何とかスルー。

 

 

ひっそりとした通りにひっそりと佇んでいたローカルの権化みたいな屋台に飛び込みます。

 

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謎の調味料たち。

 

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手前が恐らく※ナンプラー。あとは砂糖,酢,唐辛子。(この時はまだ知らない)
 
 
今後、何度も顔を合わせる調味料四天王たちです。
 
 
ナンプラーは,いわゆる魚醤。東アジアを中心に世界中で古くから使われている調味料で、生の魚を塩で漬け込み発酵させてできる液体だそうな。
 
 
そのナンプラーをスプーンで掬い口元に近づけてみると
 
 

ゔぉぇっっっっ!!!

 
えげつない臭いがしました。 
 
 
えげつなすぎて一瞬トリップしました。
 
 
好みは分かれるでしょうが、魚の旨味をギュギュッと濃縮したナンプラーは料理にコクと深みを与えてくれる(らしい)ので機会があれば是非ともレッツトライ。
 

 

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そうこうトリップしているうちに運ばれてきた
『麺らしき何か〜何かしらのお肉を添えて〜もやし風味』30バーツ(約105円)
 
 

ズズズズッッ

 
 
うん。シンプルに素麺。先ほどのナンプラーの残り香が口の中で怒涛の大主張をしていますが、これ自体は薄味でさっぱりと食べやすくとても美味しいです。
 
 

小腹を満たし、またもフラフラ。

 

 

帰り道にセブンイレブンを発見。

 

 

ビールと共にビジュアルが一番よかったお弁当を購入。

 

 

川沿いにあったベンチに腰掛け夜食をいただきます。

 

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 「セブンのお弁当〜鶏肉(辛)とコメと目玉焼きと〜」40バーツ(140円)

 

 

 

 

一人見知らぬ国の誰もいない川沿いで、コンビニ弁当を汗だくでかきこみながら二日目の夜は更けていくのでした。




 

P.S セブンが一番

 

じゃ(`・ω・´)